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ビックリマンが流行した当時、社会的にはどのように評価されていたんでしょうか。




1989年の『現代用語の基礎知識』を見てみました。

「風俗・流行」コーナーに「子ども風俗用語」として「ビックリマン・シール」の項目があります。


■ ↓以下、1989年「現代用語の基礎知識」より引用↓ ■


「子ども風俗用語の解説」 【ビックリマン・シール】  

『 ロッテのビックリマン・チョコ(単価30円)のおまけについている珍妙なデザインのシール。
400種類に及ぶナンセンスなキャラクターが、天使と悪魔とお守りの3つの型に分類されている。このシールが小学生(初期には高学年、普及とともに低学年へ)の圧倒的な支持を得て、”ビックリマン現象”とでもいうべきブームを発生させた。  

(中略)

 人気の秘密の第二は、天使シールは悪魔・お守りシールより出る確率が少なく、天使と悪魔のヘッド(首領)はさらに出る確率が少ないという、希少価値のヒエラルキー構造を持っていること、  

(中略)

 これらの要因によって子どものコレクション欲求はいっそうかきたてられ、こどもの世界でシール交換市が開かれて異常なブーム現象をまき起こした。』
珍妙なデザイン」や「ヘッド(首領)」というあたり、ビックリマンをいかに言葉で表現するかという苦労のあとが見られますね。

ナンセンス」などの言葉には時代を感じます。



ちなみに「ヒエラルキー」とはドイツ語で、軍隊や官僚機構などの身分階層制を意味します。  
上記解説で参考写真として挙げられているビックリマンシールはこれでした。

 ・第7弾 お守り 「小笛守(こてきもり)」
 ・第7弾 お守り 「塞止守(せきどめもり)」
 ・第7弾 お守り 「電Q助(デンキュースケ)」
 ・第7弾 悪魔 「魔鬼夜店(まきよみせ)」
 ・ 第1弾 悪魔 「鬼ガシ魔(おにがしま)」


??? 微妙なラインナップ…





「待つまでもなく」とありますが、ヘッドシールと他シールとの価格差や封入率などに対して公正取引委員会から何らかの勧告があったようです。
「ビックリマンタイムズ」様のサイトや「ウィキペディア」などに詳しい記載があります。

また、下記「90年」で取り上げられているようなチョコを捨てる子供、盗難などの問題も表立ってきます。

■ 89年は、こども風俗全般に関する記述にもビックリマンが出てきてました。↓


『 子供の遊び文化に圧倒的な影響を及ぼしたファミコンは、ドラクエ3現象を契機に新しい局面に突入した。大学生などのヤングがドラクエゲームに熱中するにつれて、子どもたちのファミコン熱は急速に冷却した。

 またビックリマン・シールの爆発的ブームも、公正取引委員会の介入を待つまでもなく、すでに最終局面を迎えていた。

 しかし、ポスト・ドラクエ、ポスト・ビックリマンを予兆させる子ども文化に人気テーマは未だ登場していない。突出した人気漫画や人気アニメのキャラクターも浮上せず、子ども文化は混沌の状況を呈している。』

(「子ども風俗用語の解説」より)




1989年には「子どもの風俗用語」コーナーでわりとほのぼのと語られていたビックリマンでしたが…


1990年は「社会・生活」コーナーの「青少年問題用語」に現れます。

90年の”最新キーワード”として書かれています。

やはりチョコを捨ててしまう子どもたちの行為が「青少年問題」として深刻にとられていたみたいです。

ちなみに項目名は「ビックリマン・チョコ」ですが、ここではグリコの大型おもちゃ付キャラメルも同じ問題を抱えるお菓子として取り上げられています。

■ ↓以下、1990年「現代用語の基礎知識」より引用↓ ■


青少年問題用語」  【ビックリマン・チョコ】  

『 ロッテの発売しているオマケつきのチョコレート。天使、お守り、悪魔、ヘッドなどのシールで1グループ(1弾)を作り、ストーリーを展開していく。1977年(昭和52年)に発売して以来、おまけ文化の王座を確保してきた。

(中略)

おまけといっても、グリコは玩具の性質が強いのに対し、ビックリマンは、鉄腕アトムシールや鉄人28号ワッペンなどと同じように、あてものをコレクションする感覚を伴う。

(中略)

いずれにせよ、おまけの魅力を増すと、おまけを求めるために本体を求めるようになり、本末が転倒しがちになるそして菓子を食べずに捨てる子がふえたと非難されるが、おとなに隠れた子ども文化として、おまけの存在を黙認してよいように思われる。』



ちなみに90年も「子ども風俗用語」に「ビックリマン・シール」の項目はあります。
前年より解説がプラスされています。

■ 1990年「現代用語の基礎知識」より ■


「子ども風俗用語の解説」 ビックリマン・シール  

『 (前半略)

 大人から見ると珍妙なだけのおまけシールの背後にはこうした複雑なしかけがほどこされ、時代の宗教志向情報過多時代における情報遊び、ただ買うだけでは目的のものを獲得できないもどかしさなど、今日の飽和社会の欲求とピタリと符合するものであり、ある意味では、子どもだけでなく大人も含めた今日の消費スタイルを象徴する商品とみることができる。

ブームの過熱のピークは収束傾向だが、 (中略)  今なおビックリマン・チョコは子どもの身銭購入菓子の王者として君臨しているのである。』

「子どもの身銭購入菓子の王者」っていうのがいいな。



では1991年は…??

欄外に一口メモのように「ビックリマンシール」の説明があるだけで、今までのような項目はなくなっていました。
「現代用語の基礎知識」は流行りものを載せる辞典ですので、項目がなくなった=人気がなくなったというわけではないですが…。

前年は「身銭購入菓子の王者」とまで言われたのに。ちょっと残念です。



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